生活困窮や一人親家庭、不登校の増加など、子どもを取り巻く環境が大きく変化する中、子どもの居場所をつくる取り組みが、各地に広がっている。子どもたちが安心して自分らしく過ごせる居場所とは。横浜市西区で開かれたセミナー「私たちの町を子どもたちの居場所に」(横浜市社会福祉協議会、同市こども青少年局主催)から、そのヒントを探った。
小中学校の不登校児童生徒は13万4398人(うち小学校は前年度比3568人増の3万1151人)
小中高の暴力行為発生件数5万9457件(うち小学校は同5769件増の2万2847件)
小中高、特別支援学校のいじめの認知件数32万3808件(うち小学校は同8万6229件増の23万7921件)
NPO法人フリースペースたまりば(川崎市高津区)の西野博之理事長(58)は基調講演で、文部科学省が発表した2016年度の全国データを引用しながら、子どもたちの置かれている状況を説明した。
少子化の進行にもかかわらず、不登校の児童生徒は増加傾向。いじめや暴力行為が小学校にも広がり、小中高生の自殺者数は全国で320人(16年)。子どもの7人に1人が貧困状態とされる一方、過干渉の親が増え、「二極化」が進んでいる…。
西野さんは、ストレスを抱える子どもの低年齢化が進んでいると指摘した。「日本の子どもたちの特徴を一言で言うならば、自信がない。そう答えるようになって20年以上になる。自己肯定感が低い」
なぜか。突き詰めて考えた結果、大人の不安が子どもの自信を奪っているのではないかとの思いに至った。子どもに恥をかかせまいと、かけっこの家庭教師をつける親までいる時代。子どもの評価がそのまま親の評価と結び付けられ、「正しい」親として評価されたいがために、早期教育に熱を入れる。
「家では『正しさ』が充満し、『できない』『分からない』と弱音が吐けない。言葉に出せない感情は蓄積し、やがて暴力やいじめを生み出す。親に言われたのと同じように、自分よりも発達の遅そうな子を探して、『こんなこともできないのか』と罵倒する。だから低年齢化している。暴力も、いじめも」