横須賀海上保安部が昨年1年間、横須賀、逗子、三浦市と葉山町の沿岸で取り締まり、書類送検した密漁の件数が299件で、過去最多を記録した。215件だった2016年に続いて全国最多となった。「自分で食べるだけだから」とサザエやアワビなどを少量採るケースが大半で、同保安部は「少しぐらいなら、という気持ちでも、積み重なると資源の減少につながる」と海のルールを守るよう呼び掛けている。
被害はサザエが最も多く2196個(165キロ)、アワビが4・8キロ、タコが14キロと続いた。
書類送検容疑は、漁業権を侵害したとする漁業法違反と採っても良い海産物の大きさや漁に使う道具を制限した県海面漁業調整規則違反で、逮捕者はいなかった。大半が初めての密漁で、バーベキューで酒を飲んだレジャー客が具材を調達するために密漁をしたケースも散見される。
三浦半島沿岸ではサザエやアワビ、ウニ、ハマグリ、イセエビなどの採取は漁業権を持つ人以外は禁止され、注意を呼び掛ける看板も設置されている。摘発された人の多くは「近くで密漁禁止の看板は見た」などと話しており、同保安部は「採ってはいけないと分かっていても、密漁という認識まではないのではないか」とみている。
摘発数が多い理由について、同保安部は「三浦半島は東京近郊から気軽に遊びに来られ、磯場も多いからではないか」と分析。マリンレジャーが盛んになるゴールデンウイークから夏にかけて摘発数が増えるという。
書類送検件数は08年から15年までは、18件から130件の間を推移してきたが、16、17年に急増した。漁業関係者から「資源の枯渇が激しい」などの声を受けて、取り締まりを強化したことが背景にある。同保安部の担当者は「送検件数と実際に行われている件数は必ずしも比例するわけではない。潜在的にある問題なので、今後も継続して取り締まりと啓発活動をしていく」と話している。