【時代の正体取材班=石橋 学】川崎市が策定した公的施設でのヘイトスピーチを事前規制するガイドラインを巡り、ヘイト対策の提言をまとめた有識者会議・市人権施策推進協議会から「施設利用を不許可にする要件が厳しく、実効性が疑われる」と物言いがついている。前回の昨年12月に続き16日の審議でも委員が「(要件の一つである)迷惑要件はなくすべき」と問題提起した。
ガイドラインでは「差別的言動の行われる恐れが具体的に認められる場合」(言動要件)に加え、「他の利用者に著しく迷惑を及ぼす恐れが明白な場合」(迷惑要件)に利用申請を「不許可」「許可取り消し」にすることができるとしている。
迷惑要件についてはパブリックコメントでも「ヘイトスピーチは人権侵害の問題であり、迷惑の有無を条件とする必要はない」と削除を求める声が多数寄せられ、委員からは「おとなしく集会を開けばヘイトができてしまう」「協議会の提言から後退している」と疑問の声が上がっていた。この日の審議でも「判断が迷惑要件に引きずられるようではガイドラインを設けた意味がない」との指摘がなされた。