性被害公表 刑法改正へ活動
当時のことを話すと、今も涙が出て苦しくなる-。
フリーアナウンサーで記者の藪本雅子さん(52)は2019年6月、一生消えることのない痛みを自身の心に刻み付けた出来事をブログで公表した。それは、中学生の頃に受けた性暴力被害。加害者を糾弾することが目的ではなく、同じような被害に苦しむ人々にメッセージを届けたいとの一心からだった。「あなたは何も悪くない」のだと。
藪本さんは中学3年生の時に信頼していた男性から性暴力を受けた。「今のようにインターネットがあり情報に簡単にアクセスできるわけでもない。セックスが何をすることかも知らなかった」と当時を振り返る。
性行為そのものの記憶はすとんと消えた。加害者の満足そうな表情と、鏡に映った自身の泣きはらした目だけは、鮮明に覚えているという。
「抵抗するという選択肢がなかった。その最中はただただ怖くて、静かに泣くことしかできなかった」
当時、性暴力を受けたとの自覚がはっきりとあったわけではなかった。残ったのはもやもやした感情だけ。強く拒めなかった自身を責め…