差別のない共生のまちづくりを担う公的施設「川崎市ふれあい館」(川崎区)に在日コリアンの虐殺を宣言する脅迫年賀状が届いたヘイトクライム(差別に基づく犯罪)を巡り、いち早く連帯のメッセージを発信した人物がいる。不登校や引きこもりの子ども・若者たちの居場所づくりに取り組むNPO法人「フリースペースたまりば」理事長の西野博之さん(59)。24日、同館で開かれた人権尊重学級の講座で「生きづらさを抱えた若者と共に生きる」というテーマに重ね合わせ、思いを語った。
「無駄な命ない」NPOの西野さん
西野さんがフェイスブックに投稿したのは11日。〈私たちは「ふれあい館」とつながっています。川崎に住む仲間が、こんな暴力と恐怖にさらされていることに激しい憤りを感じます。みんなの力を合わせて「ふれあい館」を守りましょう!これは人ごとではありません〉と呼び掛けた。
「脅迫状を報道で知り、憤りと同時に心配が募った。館の職員たちの会員制交流サイト(SNS)での発信が息を潜めるようにぱたっと止まり、少し離れた場所にいる私が想像している以上に受けている打撃は深刻なのではないかと思った」
「自分たちに届いたらと考えた。不登校なんて社会のごみだ。引きこもりは役立たずだ。だから、全員死ね。そのとき、周囲がふざけるなと声を上げてくれるだろうか。誰も何も言わなかったら、私たちは孤立する。ふれあい館をそんな目に遭わせるわけにいかない。黙っていられなかった」