
問い合わせ450件
県は31日、全国瞬時警報システム(Jアラート)の国民保護サイレンを県内全33市町村で一斉に鳴らす訓練を実施した。北朝鮮の弾道ミサイル発射を想定した初の訓練で、サイレン音の周知が目的。各自治体の防災行政無線などで「訓練」と前置きして放送し、一部では避難訓練も実施した。神奈川新聞社の調べでは、少なくとも450件の苦情や問い合わせが確認された。
サイレン音は、午前11時から14秒間鳴らした。31市町村は屋外スピーカーで、横浜と川崎の2市は市役所や区役所で再生。県や座間市などは、庁舎内で職員が訓練を実施。茅ケ崎市などでは、公立学校の児童・生徒らが避難行動を確認した。
川崎市では川崎区内の庁舎で放送が流れず、鎌倉市をはじめ複数で「音が聞こえない」といった問い合わせが相次いだ。一方、「うるさい」「訓練に意味はあるのか」などとする苦情もあった。一部の市民団体は中止を求める抗議活動を実施、県には「戦争への不安をあおる」など約30件の批判が寄せられた。
黒岩祐治知事は訓練後の会見で「実際にサイレン音を知り、万一のときに落ち着いて身を守る行動を考えるきっかけになり、大変意義があった」と総括。「訓練したから(武力攻撃回避に向けた)対話の邪魔をすることには全然ならない」と述べた。
「不安あおり、視野狭める」
「サイレンが聞こえなかった」「中途半端な訓練で有事に対応できるのか」。県内一斉のJアラート訓練で、住民からは実効性を疑問視する声が相次いだ。学校では避難訓練を巡って対応が分かれ、不安をあおり、視野を狭めかねないとして訓練を行わない学校もあった。