
発達障害について理解を深め地域社会のありようを考える講演会が22日、大井町生涯学習センター(同町金子)で開かれた。実践女子大教授で小児科医の塩川宏郷さんが講師を務め、約60人の町民らが熱心にメモをとりながら聞き入った。
塩川さんは診察例を紹介しながら、自閉症スペクトラムや注意欠陥多動性障害(ADHD)といった発達障害の代表的症状(特性)などを説明した。これらの症状が社会・環境に不適応で本人や周囲の人が困難や苦痛を感じている場合が「障害」とされるとし、「症状そのものは障害ではない。症状を障害にするのは私たちの地域社会のありよう」と解説。「支援があれば障害はなくなる」と主張した。
特性が障害にならない「高度な支援社会」について、発達障害とされる特性がある人もない人も同じ地域住民として社会参加し、相互に助け合うイメージを紹介。そのためには「理解」「寛容」「お互いさま」をキーワードに、住民全員がその人なりの特性があることを受け入れ、それぞれの役割を果たすべきだとした。その上で発達障害とされる特性がある人への実際の対応方法などを説明した。
講演会は町社会福祉協議会と、障害児・者の家族や福祉に関心がある人らでつくる「かざみどり」(下澤孝子会長、29人)の主催。同会は災害時における福祉避難所の設置を目指し、同避難所に関する講演会や運営研修などを続けている。