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危険ドラッグ規制で移行も
大麻、若者にまん延 摘発数増300人うち半数

社会 | 神奈川新聞 | 2018年1月22日(月) 10:08

大麻草が栽培されていた県内マンションの一室=麻薬取締部横浜分室提供(画像の一部を加工しています)
大麻草が栽培されていた県内マンションの一室=麻薬取締部横浜分室提供(画像の一部を加工しています)

 大麻の栽培や所持などにより昨年1年間に神奈川県内で摘発された人数が9年ぶりに300人を超えたことが、県警と神奈川など1都9県を管轄する関東信越厚生局麻薬取締部(麻取)のまとめで分かった。横行の背景には、若年層へのまん延や危険ドラッグの規制強化の「反動」があるとみられ、薬物依存の問題に詳しい専門家は「精神疾患の発症リスクを高める」と警鐘を鳴らしている。

 県警薬物銃器対策課と関東麻取横浜分室によると、大麻取締法違反容疑での県内の摘発は最近、増加傾向にあるという。

 過去最多だった2008年の338人から減っていたが、13年の170人を底に増加へ転じ、16年は280人。17年は速報値段階だが、08年以来9年ぶりに300人台に乗った。

 中でも若者への浸透が深刻で、摘発された半数近くを10~20代が占め、未成年者も1割弱いる。30歳未満が15%程度にとどまっている覚醒剤事件と比べて、割合は際立って高い。

 捜査関係者は若者に広まっている一因として、インターネットの普及などにより「気軽に」薬物に手を出してしまう傾向があるとみている。

 実際にインターネットで大麻について検索すると無数のサイトがヒット。「マリフアナは世界の半分以上で法的に(ほぼ)合法」「成分は医療にとても効果がある」という文句が並び、掲示板サイトでは大麻を意味する「葉っぱ」といった隠語が飛び交う。危険性が低いかのように錯覚させるものが少なくない。

 捜査関係者は「たばこやアルコールより害はない、といった誤った情報がネットなどにあふれ、若者の抵抗感が薄れている」と分析。県警によると、覚醒剤1グラムの末端価格が6万4千円なのに対して大麻1グラムが6千円と安価なことも、一気に「身近な薬物」(捜査関係者)となった要因の一つに考えられるという。

 一方、危険ドラッグが14年施行の改正薬事法(現医薬品医療機器法)などで取り締まりが強化され、入手が困難となったことから、薬物使用者が大麻に移行しているとの指摘もある。

 厚労省によると、危険ドラッグの販売店舗は15年7月に全て閉鎖。捜査関係者は「危険ドラッグで薬物を『覚えた』人の一定数が大麻に流れた」とも語る。

 大麻草は主に花穂(かすい)や葉に有害物質を含み、煙を吸うなどすると幻覚作用や記憶障害、さらに乱用を続けることで精神疾患を引き起こすリスクを高めるとされる。また少量でも危険性が高い、有害成分を抽出した固形物「大麻ワックス」の製造方法がインターネットなどを通じて急速に広まっており、捜査当局は警戒を強めている。

 国立精神・神経医療研究センター依存性薬物研究室の舩田正彦室長は「大麻の作用には個人差があるが、認知機能や学習能力を低下させ、薬物依存に陥る危険性がある。特に若年層にとっては脳内神経の成長を阻害するため極めて有害」と訴えている。

◆大麻草 アサ科の一年草。主に葉と花穂(かすい)に幻覚作用がある「テトラヒドロカンナビノール」を含む。乾燥大麻は「マリフアナ」とも呼ばれ、燃やして煙を吸うなどすると幻覚作用や記憶障害、学習能力の低下を引き起こすとされる。大麻取締法により無許可の所持や栽培、譲り受け、譲り渡しが禁じられている。罰則は栽培が7年以下の懲役、所持は5年以下の懲役。営利目的はさらに重くなる。

 
 

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