23年前の阪神大震災を機に神奈川にも広がった災害ボランティアが、活動の継続と連携という課題に直面している。若い世代にどう引き継いでいくか、より効果的な支援の形は-。全国各地で災害が相次ぐ中、神奈川がいずれ被災地となる事態も見据え、所属団体を超えた話し合いが始まっている。
「まずはお互いのことをよく知る必要があるのではないか」。10日夜、横浜市神奈川区のかながわ県民センター。10回目を迎えた「さくら会議」は、そんな問題提起で始まった。
震災後の1998年に発足した神奈川レスキューサポートバイクネットワークの沢田健介副代表(50)が自らのプロフィルを紹介し、災害支援に対する思いも明かした。新潟県中越地震や熊本地震などの被災地に出向き、オートバイの機動力を生かした物資や情報提供の支援に取り組んできたが、「力を入れすぎると長続きしない。継続に価値あり、だ」。
活動を続ける中で、こうも感じてきた。「災害支援は被災地に『正』と『負』のインパクトを与える。負のインパクトとは、ボランティアの集中による交通渋滞や物資の不足などだ。それらを最小にするために正確な情報を集め、想像力を鍛えなければ」
さくら会議は昨年7月、九州北部の豪雨後にスタート。所属団体の垣根を越えて被災地のニーズを的確につかみ、迅速な支援につなげることが当初の目的だったが、最近は今後の災害支援のありようを話し合う場にもなっている。
参加は毎回10人前後と多くない。運営担当の一人、やまと災害ボランティアネットワークの市原信行代表理事は(57)は「被災地のことばかり考えるのではなく、いざというときに団体同士がまとまれるようにしておかなければ。そのためにも間口を広げ、若い人にも参加してもらえるようにしたい」と強調する。
その背景には「どの団体も予算規模が小さく、活動の基盤が弱い。ボランティアの年齢層も高くなり、継続が課題になってきた」との問題意識がある。市原さん自身も、消防団仲間と神戸に駆け付けたのが災害支援の原点だ。
NPO法人神奈川災害ボランティアネットワークの植山利昭副理事長(69)は「NPOで働くだけでは生活ができず、仕事と両立させなければならないのが現状。大学などと連携し、専門的な人材を養成する仕組みをつくる必要がある」と指摘する。昨年4月に発足20年を迎えた同ネットワークは今月21日、記念講演会を開き、今後の活動のあり方などを考える。