県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)で2016年7月、入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人などの罪に問われた元職員植松聖被告(29)の裁判員裁判の第2回公判が10日、横浜地裁(青沼潔裁判長)で開かれた。検察側が犯行を目撃した夜勤職員6人の供述調書を読み上げ、会話ができるかどうかで生殺が選別され、1時間に及んだ襲撃の恐怖が克明に浮かび上がった。

6人の調書によると、入所者が寝静まった午前2時過ぎ、東居住棟1階の女性専用「はなホーム」を巡回中の職員は、ドアの開いていた110号室をのぞき込んだ。ひざまずいた状態の人影が見え、中庭に面する掃き出し窓が割れているのに気付いたという。
「誰?」。そう声を掛けると、すっと立ち上がった。手には刃の細長い包丁。侵入した直後の被告だった。職員が驚いて叫び声を上げると腕をつかまれ「騒いだら殺す」。結束バンドで手首を縛られ、室内に引きづりこまれた。