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やまゆり園 事件考
「心神喪失」「大麻の影響は限定的」 初公判で対立

社会 | 神奈川新聞 | 2020年1月9日(木) 00:49

植松聖被告
植松聖被告

 相模原市緑区の県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、入所者と職員計45人が殺傷された事件で、殺人などの罪に問われた元施設職員植松聖被告(29)の裁判員裁判の初公判が8日、横浜地裁(青沼潔裁判長)であり、被告は起訴内容を認めた。弁護側は事実関係を争わないとする一方、大麻などの薬物の乱用による精神障害の影響で、当時の被告が心神喪失か心神耗弱の状態にあったとして、無罪か減軽が相当と主張した。

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 被告は罪状認否の後、さらに発言の機会を求め、「みなさまに深くおわび致します」と謝罪。直後に指をかみ切るような不規則な行動に及び、退廷を命じられて午後の審理には出廷しなかった。

 検察側は冒頭陳述で、同園での勤務経験や見聞きした社会情勢が、被告の犯行動機の形成に影響を与えたと指摘。当初は障害者を「かわいい」と思っていたが、次第に「意思疎通のできない障害者は不幸を生み出す」と思うようになり、「意思疎通のできない障害者は殺した方がいい」との考えに至ったと過程を説明した。

 さらに「被告に病的な妄想はなく、犯行は被告個人の特異な考えに基づいて行われた」として大麻の影響は限定的だったと主張。事前に凶器や拘束具を用意するなど計画性が認められるほか、職員の少ない夜間に忍び込み意思疎通のできない障害者を選んで殺傷行為に及ぶなど理にかなった行動を取っているとして、「完全責任能力が認められる」と述べた。

 弁護側は「被告は大麻などの薬物乱用による精神障害の影響で犯行当時は本来とは別の人格になっていた」と反論。「やくざに命を狙われている。殺される前に実行しないといけない」との妄想に支配されていたほか、幻聴が聞こえるなど通常の精神状態ではなかったとした。その上で、「善悪の判断や行動をコントロールする能力がなくなっていた」と述べて、刑事責任能力について争う姿勢を示した。

 起訴状によると、被告は16年7月26日未明、やまゆり園に侵入し、包丁で突き刺すなどして入所者19人を殺害したほか、職員2人を含む26人に重軽傷を負わせた、とされる。公判は予備日も含めて全26回の期日が指定され、判決は3月16日に言い渡される。

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 開廷してから約15分後の一瞬の出来事だった。

 
 

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