
国による地震予知は「不可能」と判断しつつも、完全には諦めずにこれまでの知見を生かして新たな警戒情報を発表する-。この1年余り、取材を重ねてきた東海地震予知見直しの検討は、そんな形で決着した。「結論ありきではない」とのスタンスで昨秋から始まった有識者の議論は、しかし十分に尽くされることのないまま、おおむね予定通りの結論を導いたように思えてならない。予知に否定的な専門家だけでなく、現場の防災対応を担う自治体などからも、疑問や不満の声が出ている。
代替策求め
「諦めないでいただきたい」
国全体の防災をつかさどる内閣府が事務局となり、今年8月まで計7回開催された「南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応検討ワーキンググループ」。昨年9月の初会合で複数の委員が求めたのは、予知をただ取りやめるのではなく、何らかの代替手段を新設することだった。