1. ホーム
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 重粒子線治療に黄信号 県立がんセンター、専門医退職、稼働停止も

重粒子線治療に黄信号 県立がんセンター、専門医退職、稼働停止も

社会 | 神奈川新聞 | 2017年12月18日(月) 10:10

病巣に照射する重粒子線のビームを治療室に送り込む加速装置 =11日、県立がんセンター
病巣に照射する重粒子線のビームを治療室に送り込む加速装置 =11日、県立がんセンター

 県立がんセンター(横浜市旭区)が、主軸である「重粒子線治療」の存続を巡り危機的状況に直面していることが17日、分かった。専門医が相次いで退職の意向を示し、来年1月末で「先進医療」の指定が解除される可能性が浮上。稼働停止に陥れば、全国有数のがん拠点病院としての機能低下は避けられない状況だ。医師離脱は病院内の不協和音が要因とみられ、緊急事態の回避に向けた早急な対応を迫られている。 

 重粒子線治療施設が厚生労働省の先進医療に指定される要件は、重粒子線治療施設での経験が1年以上ある放射線治療専門医と放射線治療専従の常勤医の計2人以上の配置など。同病院は現在、重粒子線治療センター長(非常勤)のほか常勤の専門医5人で要件を満たし、保険診療との併用が可能になっている。

 ところが、今年11月までに常勤医5人のうち2人が12月末で、別の2人も来年1月末で退職する意向を伝達。慰留に努めているが翻意は困難とみられ、2月以降の先進医療継続が見通せなくなった。今夏にも医師1人が退職しており、診療方針を巡る見解の不一致などが背景にあるとされる。

 県によると、先進医療の指定から外れても、保険が適用されない自由診療(総額約500万円)であれば治療は継続できる。しかし、同病院は「要件を満たさない状態では患者の安全が確保できない」と判断、自主的に稼働を止める方針だ。治療中の患者は近く計画を見直してリスク回避を図るものの、一般的な放射線治療も縮小せざるを得ない状況に陥るという。

 大川伸一病院長は「がん診療拠点の一角を担い、県民ニーズを果たしていく責任を痛感している。安定稼働を続けられるよう、先頭に立って医師確保に努める」と話す。病院関係者が総力を挙げて医師の確保に奔走するが、がん患者が増える一方で放射線治療専門医の育成が追いついていないのが現状。全国の医療機関で争奪戦の様相を見せており、年度途中の早期補充は難しいとされる。

 同病院は、初診患者の受け入れは当面困難とみて、県内外の医療機関に紹介を見送るよう通知。苦境を周知するとともに、「世界に誇る最先端医療施設の異常事態」(県担当者)が患者にもたらす影響を最小限に食い止める方策に全力を注ぐとしている。

 ◆県立がんセンターの重粒子線治療 全国5カ所目の重粒子線治療施設「i-ROCK」は、がん専門病院と併設された世界初の施設。総事業費は約120億円で2015年12月に治療を始めたが、16年度は年間200件の目標に対し149件にとどまった。特殊な放射線を利用する重粒子線治療は病巣に直接ダメージを与えて患者の負担軽減を図れるが、治療費の自己負担分が350万円と高額なことなどが課題とされる。

神奈川県立がんセンターに関するその他のニュース

社会に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング