川崎市民から募った寄付金を活動資金として市内の市民団体に助成している公益財団法人「かわさき市民しきん」の活動が、曲がり角を迎えている。インターネットを介したクラウドファンディングが隆盛の近年は寄付金集めに苦労し、目標額に届かないこともしばしばという。認知度の向上を課題と捉える団体は、寄付の傾向を分析した上で有効な打開策を見いだしたいとしている。
同団体は2015年に約160人から資金約500万円を集めて設立された。市民からの寄付金で地域の活動をサポートすることを目的に、「事業支援しきんあとおし」をメイン事業として展開。例年夏ごろから助成を希望する市民団体を選定し、12月に寄付の募集を始めている。
これまでに、産後うつになりがちな母親向け講座の開催事業や、中学生を対象とした暴力防止プログラムの提供事業などを支援。同プログラムは川崎区の多摩川河川敷で15年2月に起きた中学生殺害事件を受け、考案されたものだった。
単なる資金提供にとどまらず、寄付者が当該の市民団体へ加入するなど副次的な成果も見られたという。
一方で、支援先に選ばれた市民団体への寄付を募る「ドネーションパーティー」に、来場者が集まらないなど課題も多い。「日本には欧米のような寄付文化がまだ根付いていない」と江田雅子理事。クラウドファンディングの活用が全国で進む中、埋没しないためのPR策も欠かせない状況で、廣岡希美代表は「寄付金の使い道が分かるのが特徴。お金の地産地消を目指し、多くの人から少しずつでも支援してもらえれば」と話している。
本年度の対象事業は▽まごころキッチンプロジェクト=非常時に役立つ「防災レシピハンドブック」の作成▽多摩区認知症カフェ・地域カフェ交流連絡会=交流会とポスター展の開催▽NPO法人ハピタ=保護者の負担軽減を目的としたPTA業務のデジタル化ツールの作成ーの3事業。来年2月末を期限に寄付金を募っている。
問い合わせは、かわさき市民しきん電話044(873)4586。