県立高校で学内総勤務時間が週60時間以上の総括教諭・教諭が30・3%、副校長・教頭は67・3%に上ることが13日、県教育委員会の調査で分かった。時間外労働が月80時間超を目安とする「過労死ライン」に相当する水準で、会議など学校運営に関する業務や部活動が勤務時間を押し上げている格好だ。
小中学校教諭の多忙な実態については、文部科学省が4月に公表した調査で明らかになっているが、県立高でも浮き彫りになった。
調査は県教委が初めて実施した。対象は県立高校23校、特別支援学校7校で、9~10月のうち7日間の勤務状況を尋ね、1939人から有効回答を得た。
県立高教諭の1週間の平均学内総勤務時間は副校長・教頭が最も長く63時間47分で、校長59時間5分、総括教諭・教諭56時間40分が続いた。総括教諭・教諭の平日の平均学内勤務時間は10時間26分で、30歳以下の時間数が最も多かった。業務内容別では、授業など生徒の指導に関わる業務が7時間51分で、うち部活動が39分を占めた。会議や会計処理など学校運営関係の業務は1時間46分だった。
平日の平均持ち帰り業務時間は17分。土日の平均学内勤務は2時間14分で、このうち1時間32分が部活動だった。
また、特別支援学校で学内総勤務時間が週60時間以上だった総括教諭・教諭は4・9%、副校長・教頭は66・7%に上り、県立高と同様に長時間労働の実態が明らかになった。
県教委は調査結果を踏まえ、今月中に有識者会議を立ち上げ、来年2月をめどに教員の働き方改革の具体策を取りまとめる。現在試験的に導入している業務アシスタントの配置拡大や、部活動指導員の導入を検討する見通し。県教委教職員企画課は「いまだ多忙な実態が解消していない。より実効性のある対策を有識者と共に検討していく」としている。
潜在的な“悲鳴”多い 過労死遺族
「今後にどうフィードバックするか。それこそが大事」。「神奈川過労死等を考える家族の会」代表の工藤祥子さん(50)は、県立高校教員の勤務実態が明るみに出た今回の県教育委員会の調査を評価しつつ、対策の一層の前進を願う。
横浜市立中学校教諭だった夫の義男さんが40歳の若さで亡くなったのは2007年6月。直前1カ月の時間外労働は地方公務員災害補償基金に認められただけでも97時間に上った。
過労死ライン相当の県立高教諭が3割超だった今回の結果には「それでも実態より少ない印象」と指摘。