県は12日、消費生活条例の改正素案を明らかにした。特定商取引法の改正や消費者教育推進法の制定を受けた13年ぶりの改正で、高齢者被害増加やインターネット普及で多様化・複雑化する消費者問題への対応が柱。訪問販売の規制強化に関しては県民意見で賛成意見が7割に上ったが、今回の見直しは見送った。
県消費生活審議会の答申を踏まえた改正案は、新たに貴金属や着物などを強引に買い取る訪問購入に対応する条文を加筆。一方、「訪問販売お断り」の貼り紙などで勧誘拒否の意思を示す世帯への訪問販売を禁止し違反行為に行政指導を課す規定の新設は見送った。同規制は9月に公表した骨子案で明記していた。
骨子案に対する県民意見は、約1カ月で1223件寄せられた。訪問販売関連の意見が約半数を占め、「高齢者の被害が増えているので、条例上保護する必要がある」「高齢者は勧誘が始まると断れない人が多く、ステッカーで訪問を断る仕組みがあると良い」といった賛成意見が7割。一方、反対意見では「一部の悪質業者のために大半のまじめな事業者の健全な営業活動が阻害される」「公的機関と協定を結んでいる事業者の防犯・防災・見守り活動が阻害される」などとする声が届いていた。
審議会の答申や県民意見と相反する方向性を示したことに、黒岩祐治知事は「本当に悪質な業者からの被害を防ぐのに、規制は必ずしも最善の解決策とは言えない」などと説明している。