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異国の土俵、青春に汗 モンゴル人留学生2人

社会 | 神奈川新聞 | 2017年12月9日(土) 02:00

集大成となる来季へ飛躍を誓うダライバートル選手(左)とチョイジルスレン選手 =小田原市の旭丘高校
集大成となる来季へ飛躍を誓うダライバートル選手(左)とチョイジルスレン選手 =小田原市の旭丘高校

 日馬富士の暴力問題に角界が揺れる中、異国の砂にまみれ、土俵に青春を懸けるモンゴル人高校生がいる。県内初のモンゴル人留学生として昨年来日した旭丘高校(小田原市)2年のバドジャルガル・チョイジルスレン(17)、シャグダルスレン・ダライバートル(17)の両選手だ。チョイジルスレン選手がこの秋の国体代表としてベスト16入りに貢献するなど新風を運び、2人は卒業後は大学に進んでモンゴルや相撲界に貢献したいと目を輝かせる。

 「他のメンバーもやれることはやった。でも優勝を目指していたから悔しい」。愛媛国体の団体戦で敗退が決まると、チョイジルスレン選手は悔しげに土俵を後にした。大舞台を踏んだ感慨、自らの勝利よりも無念の思いが先んじる。

 185センチ、115キロの堂々たる体格から、スピードを武器とした攻めが身上。今年6月の関東高校大会で優勝を飾り、全国総体にも出場した。そんなチョイジルスレン選手に「負けたくない」とライバル心を燃やすのが181センチ、120キロのダライバートル選手だ。

 「モンゴル人は立ち合いが強くない」と分析するクレバーな力士は、今秋の関東選抜大会で2位と躍進。「モンゴルで柔道をやっていたから足技も使える」と自信をのぞかせる。

 モンゴル相撲やレスリングで活躍していたチョイジルスレン選手は「自分を成長させたかった」と来日を決断。ダライバートル選手は大相撲中継を見て「朝青龍が好きだった」と相撲に興味を抱いたという。

 選考会を経て国際教育の一環で留学生の受け入れを進めていた旭丘高への進学が決まった。「日本で知っていたのは桜、フジヤマ…それとアニメ」とチョイジルスレン選手。ダライバートル選手は「日本はサムライの国というイメージだった。新幹線とかモンゴルにはない技術にも驚いた」と笑みを浮かべる。

 2人には異文化になじむ素地があった。来日1年半で日本語も流ちょうに操る。「もっと強い子はいたが、相撲が強ければいいというわけではない。すごくまじめな子たちだから声を掛けた」と親代わりで指導する岸田光弘監督(44)。ダライバートル選手の言葉が物語る。「努力という日本語が一番好き。いつも言い聞かせている」

 モンゴル人力士らに厳しい目が向けられているが、朝から晩まで相撲漬けの日々を送る2人には、そうしたニュースも遠い出来事にすぎない。「15歳で親元を離れて日本に来たから覚悟が違う。とにかく向上心が強い」と指揮官。この秋からはチョイジルスレン選手が主将に抜てきされた。

 「まずは自分が背中を見せないといけない。みんなで頑張って乗り切れたら強くなれる」と同選手。異国で学んだ大和魂を背負い、精進を重ねている。


異国での高校生活。高い志とともに精進を重ねる =旭丘高
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