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かながわの基地はいま(1)差し掛かる移駐時期

社会 | 神奈川新聞 | 2016年10月3日(月) 11:29

 神奈川の在日米軍基地は日米部隊の連携の“最前線”でもある。横須賀に原子力空母ロナルド・レーガンが配備されて10月1日で1年を迎えた今、米軍再編や安全保障関連法成立を受けた機能や地域との関係はどうなっているのか。現場から考える。


2017年ごろに岩国基地に移駐するとされている米空母艦載機=米海軍厚木基地
2017年ごろに岩国基地に移駐するとされている米空母艦載機=米海軍厚木基地

 「移駐は2017年当初に始まる。部隊ごとに段階的に移す」

 米空母艦載機が5月、陸上空母離着陸訓練(FCLP)を実施していた硫黄島(東京都)。厚木基地(大和、綾瀬市)から岩国基地(山口県岩国市)への艦載機移駐の見通しを問われた米海軍幹部が、記者団に答えた。

 公式に示されている移駐時期である「17年ごろまで」から具体的に踏み込んだ説明と受け止められたが、直後に米海軍当局は「日本政府の従来の発表通り」と、説明を修正した。

 日米の合意時期に差し掛かり、米側は「いつでも移駐できるよう準備を尽くしている」(在日米海軍司令部)と強調。ただ、防衛省は米軍に個々の見解を表明しないよう強く申し入れたという。大木哲大和市長も不快感を隠さない。「一軍人が好き勝手なことを言っているのに振り回されてはよくない」

 移駐時期は、第4次厚木騒音訴訟の控訴審判決(15年7月)でも、被害認定の根拠に引用されている。高裁段階で初めて認められた自衛隊機の飛行差し止めと、将来の騒音被害による損害賠償の期限は「16年12月31日まで」。原告団長の金子豊貴男相模原市議は「移駐がずれ込めば、認定した期限をさらに延ばす必要がある」。最高裁は10月末に上告審弁論を開くことを決めた。

 移駐を巡る関係者の発言が慎重なのは、移駐先の住民感情にも敏感にならざるを得ないからだ。ともすると「騒音の押しつけと受け取られかねない」(厚木周辺自治体幹部)。過去に検討された三宅島への訓練移転構想が頓挫したのも、頭越しの決定が住民感情を逆なでしたからにほかならなかった。

 移駐に備える岩国基地では未着工施設がなくなり、環境整備は「順調な進捗(しんちょく)」(防衛省)だ。移駐後の艦載機の訓練空域も山陰・四国沖に新たに設定され、条件は整いつつある。

 ただ、移駐を事実上容認しているとされる福田良彦岩国市長も「普天間移設の見通しが立たないのに艦載機移駐を切り離して進めることは認めない」と、正式な受け入れを表明してはいない。

 一方の厚木基地の今後も周辺住民にはまだ見えていない。回転翼機が残る上、ジェット機の一時的な飛来は続くとの観測もある。

 「災害支援で地域と協力できるのは光栄だ」

 厚木に残るヘリコプター部隊を率いるケリー・カステレイン司令官は、連携の進化に期待する。部隊は東日本大震災時の「トモダチ作戦」に従事。先月11日には、県の総合防災訓練「ビッグレスキューかながわ」にも参加した。

 厚木基地のジョン・ブッシー司令官は「(ジェット機移駐で)騒音は軽減されるだろう」とみる。それでも「有数の過密地と空域の混雑」(ブッシー司令官)を抱えた基地の運用が、地域との関係に配慮を迫られる事情には、今後も変化はなさそうだ。

 
 

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