
県は24日、小田原市と真鶴、湯河原両町の沿岸部計3・1平方キロメートルを県内初の「津波災害警戒区域」(イエローゾーン)に指定し、避難場所選びなどの目安となる地点別の基準水位を公表した。今後、地元市町が中心となり、最大級の津波を念頭に置いた避難対策を強化する。
県によると、警戒区域の具体的なエリアは、県が2015年に明らかにした浸水想定の範囲と同じ。市町別の内訳は小田原市2・0平方キロメートル、真鶴町0・5平方キロメートル、湯河原町0・6平方キロメートル。相模トラフの巨大地震による最大級の津波が及ぶ範囲となっている。
従来の浸水想定が津波到達時の水深を大まかに示すのみだったのに対し、警戒区域の基準水位は津波が建物にぶつかった際の上昇分を考慮。区域を10メートル四方に細分化し、それぞれの地点について詳細な水位を示している。3市町とも、基準水位が10メートルを超える地点がある。
東日本大震災を教訓に制度化された警戒区域は、避難体制の強化が目的。基準水位をクリアする避難場所の選定やハザードマップの作製などに市町村が取り組むほか、区域内の学校や福祉施設などには避難確保計画の策定と訓練の実施が義務付けられる。イエローゾーンで土地利用上の新たな規制はないという。
国土交通省によると、これまでの区域指定は14道府県にとどまり、首都圏では今回が初のケース。県は今後、他の沿岸市町でも指定を進める方針だ。区域の図面は県のウェブサイトで公開しており、3市町の役所や役場でも閲覧できる。