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「防災缶詰」、横浜で販売 南海トラフ最悪想定の高知・黒潮町

社会 | 神奈川新聞 | 2017年12月3日(日) 10:34


防災缶詰を手にPRする(左から)友永さんと坪倉さん=横浜港大さん橋マルシェ会場
防災缶詰を手にPRする(左から)友永さんと坪倉さん=横浜港大さん橋マルシェ会場

 南海トラフ地震で最悪の津波高が想定される高知県黒潮町の第三セクター「黒潮町缶詰製作所」が2日、横浜市中区で始まった第4回横浜港大さん橋マルシェに初出店した。売り出したのは、想定の厳しさを超えて地元の魅力を発信しようと、特産品をふんだんに使って考案した「おいしい防災缶詰」。人口減に直面する町の存亡をかけて、地場産業の振興と非常時の備えの両立に挑む姿をアピールし、首都圏での販路拡大への足掛かりとした。

 カツオの一本釣り漁船の拠点がある同町は人口約1万1千人。少子高齢化が急速に進み、この10年間で3千人も人口が減っている。

 加えて2012年には国による南海トラフ巨大地震の被害想定で、国内で最も高い34・4メートルの津波が示され、地域に不安や諦めが広がった。町役場産業推進室係長の友永公生さん(46)は「想定後は町を離れていく住民が相次いだ」と明かす。

 一方、半農半漁の同町では新鮮な水産物を取り扱うほか、サトウキビが栽培され黒砂糖を生産している。地元の特産品でいつ食べてもおいしい防災缶詰を広めようと、大西勝也町長が代表者となり町缶詰製作所を14年3月11日に設立。新たな産業を起こすことで雇用をつくり、地域に元気を取り戻す試みが始まった。

 現在はパートを含む15人を採用するまでに事業を拡大。「カツオの和だし生姜(しょうが)煮こごり風」(442円)、「黒潮オイルのごろっとマグロ」(450円)などをそろえた。ウナギのかば焼きを使った高級品も開発し、アレルギー対応にも工夫を凝らしている。昨年4月の熊本地震では被災者に缶詰を提供し、喜ばれたという。

 大さん橋マルシェは3日まで横浜港大さん橋国際客船ターミナルの岸壁を会場に開かれており、県内外の約80店舗が出店。約6千人が訪れた初日は防災缶詰に注目が集まり、試食した女性客は「優しい味」「子どもからお年寄りまで安心して食べられる」などと次々と買い求めていた。

 友永さんは「海のすぐ近くでアピールできてうれしい。横浜の人々からも関心が寄せられた」と販路拡大に手応えを得た様子。大さん橋マルシェ副実行委員長の坪倉良和さん(66)は「将来は横浜でも防災缶詰を開発したい。全国に流通できる仕組みを考えていくきっかけになれば」と今後を見据える。 

 
 

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