横浜国立大学教育学部付属横浜小学校(横浜市中区)の5年生が、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を題材にした学習に取り組んでいる。新聞やインターネットで情報を集め、家族や友人の意見も聞いた上で、自分の考えをまとめ、18日に校内で開かれた研究授業で激論を交わした。果たして、まちの将来を担う子どもたちはIR誘致に賛成か、反対か-。
18日午前に開かれた国語の授業。白川治教諭(39)が児童に意見を求めると、教室のあちらこちらから手が挙がった。
賛成派は、IRによる経済効果を理由に挙げた。「宿泊客がたくさん来て、横浜が潤う」「税収が増えれば道路を修理したり、医療費が安くなったりして、暮らしやすくなる」
市民の間に懸念が根強いギャンブル依存症患者の増加や治安の悪化にも、国や市の説明を踏まえ、疑問を呈した。
「ギャンブル依存症の危険性について、小中学校でも丁寧に教えると言っている」「ファミリー層が行けるほど(の施設)だから、治安は良いと思う」
かたや、反対派は市民の不安に賛同した。
「治安が悪化したら、横浜のイメージが悪くなる」「(カジノで)すごいスピードでお金がなくなって、ギャンブル依存症になる人が増える。家族にも迷惑がかかる」「カジノでなくても、お金をもうけるやり方はあると思う」
さらに、2017年夏の市長選で白紙を掲げて当選しながら一転、誘致を表明した林文子市長の政治姿勢を「市民の意見を無視した」と批判した。
途中、賛成派の女子児童が「『カジノがなければ賛成』という人も多いけど、IRはカジノがあることで潤う」と反論。市長の「横浜にはアイコンが必要」との主張も紹介し、IRが市のシンボルになり得ると説いた。
すると、別の女子児童が問い掛けた。「横浜のイメージって、何?」