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過労死防止法3年
一人一人の意識改革を 教師の夫亡くした工藤さん「生きるための仕事に」

社会 | 神奈川新聞 | 2017年11月27日(月) 11:24

シンポで過労死撲滅へ思いを語った工藤さん=横浜市西区
シンポで過労死撲滅へ思いを語った工藤さん=横浜市西区

 過重労働に苦しみ、命を落とす人は後を絶たない。国に過労死防止策を推進する責任があると明記した過労死等防止対策推進法が施行され、今月で3年。長時間労働や過労死を巡る現状に理解を深め、撲滅への道筋を探るシンポジウムが2日、横浜市内で開かれた。「すべての人に関わる問題」。登壇者たちは、一人一人の意識改革こそが必要だと語る。

 元小学校教諭で神奈川過労死等を考える家族の会代表の工藤祥子さん(50)は10年前、横浜市立中学教諭だった夫の義男さん=当時(40)=を過労で亡くした。義男さんが大好きだった仕事で命を落としたことに「とても悔しい」と語り、「生きるための仕事を」と訴えた。


 経験を基に教師の働き方について伝えるが、教師だけの問題ではなく民間に勤める方々にも関わってくる問題だと思う。大切な家族、大切な人を思いながら、もし自分だったら、と考えてほしい。

 10年前。主人は40歳の若さで、10歳と14歳の子どもたちを残し亡くなった。くも膜下出血だった。

 他界1カ月前の時間外労働時間は認定されただけで97時間。考えられないような激務だった。朝は7時ごろから部活指導、放課後も部活指導、会議、生徒指導…。帰宅は早くて夜9時。学校では仕事が終わるはずもなく、家で深夜まで仕事し、保護者からの電話対応も。休日は地域行事に参加し、体が休まらなかった。修学旅行の引率から帰ってきて倒れ、他界した。

 一番の被害者は、言うまでもなく子どもたちだった。学校は子どもたちがこれからの未来を生きていくための力、知識、人との関わりを学ぶ場所。疲れ、死んでいく姿を見せることはあってはならない。「自分たちのせいで疲れさせてしまってごめんなさい」。葬儀の後、主人の教え子から言われ、大変ショックを受けた。主人もきっと天国で、申し訳ないと今でも思っているだろう。

 なぜ、一番大好きな仕事で、命を落とさなければならなかったのか。大好きだった仕事をこのような形で締めくくることになってしまった。とても悔しい。


 教師の長時間労働を助長する一つに、教員に時間外手当の支給を認めない教職員給与特別措置法(給特法)がある。46年前にできた法律だ。46年の間、労務管理意識が現場、管理者ともになくなってしまった。

 若い先生と話すと驚いてしまう。自身の勤務時間を把握していない、休憩の存在を知らなかったとの声を聞くから。主人が他界した10年前より長時間労働がひどくなっているのではないか、と悲しくなる。

 高度プロフェッショナル制度や裁量労働制拡大を合わせて導入しよう、という動きが加速している。労務管理がなされていない教師のような働き方が増えてしまうのではないか。過労死がより進んでしまうのではないか。この動きを危惧している。

 公務災害(公務員の労働災害)の申請が認められるまで5年かかった。労働時間が正確に記録されていないと、申請の際、遺族は血眼になって証拠を探すことになる。証拠がないと働いたと認められず、切り捨てられてしまう深刻な状況にある。

 どんな職場でも死ぬための仕事でなく、生きるための仕事でなくてはいけない。休む勇気、休ませる勇気を一人一人が持ってほしい。

出発点は労務実態把握
 「過労死を防ぐため必要なのは、社員の労務実態を適切に把握すること。企業はそこからスタートしてほしい」。

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