
第一線で活躍する医師を招いた「いのちの授業」が17日、川崎市麻生区の県立麻生高校で開かれた。医療ロボット「ダヴィンチ」を使用した手術で有名なNTT東日本関東病院泌尿器科部長の志賀淑之医師が登壇。全校生徒ら約千人に最新の医療を紹介するとともに命の尊さを説いた。
いじめや自殺が社会問題化する中、命と対峙(たいじ)する専門家の姿を通じて他者を思いやる心について考えを巡らせてもらおうと、初めて企画された。
志賀医師は「医療技術革新時代を迎えて、若い世代に期待するいのちの大切さ」をテーマに、ダヴィンチを用いたがんの手術について話した。バーチャルリアリティー(VR)を駆使して練習を繰り返していることに触れ、「テスト勉強と同じで、手術前にどれだけ情報をインプットするかが大切」と呼び掛けた。
「興味を持ったことはとりあえずやってみる」「成功も失敗も先人に学ぼう」といった日頃大切にしている心構えも説明。「若い君たちが生きているだけで周囲を勇気付ける」とした上で、「大切な命を自ら絶ったり、人を傷つけたりすることはやめよう」と結んだ。
2年生の金成悠樹さん(16)は「これほどまでにVRの技術が医療現場で使われているとは知らなかった」と話していた。