入所者19人が殺害された県立障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)の運営法人見直しに絡み、黒岩祐治知事は16日の定例会見で、同園を運営する社会福祉法人「かながわ共同会」の支援実態を検証する場を早期に立ち上げる考えを明らかにした。
知事は「なぜ事件が起きたのか、なぜ元職員が凶行に及んだのか。園の運営と関係があったのか。共同会の支援の在り方が問われる」と説明。その上で、「(県が)事件の背景を検証し、利用者目線の新しい福祉の流れをつくっていくための方針転換だ」と述べた。
14日に仮移転先の園舎で開いた入所者らへの説明会では、同園の後継2施設の指定管理者を新たに公募すると説明。その理由の一つに元職員の裁判が来年1月に始まることを挙げ、「共同会にとって良くない情報がどんどん出てくる恐れがある」と主張していた。
2016年7月の事件後に県が設置した第三者検証委員会では、防犯や安全管理の側面がクローズアップされ、同園の支援実態までは検証が及んでいなかった。福祉関係者の一部からは「重度障害者の存在を否定する被告の考えは支援の中で生まれたのではないか」などと同園の支援の質を問う声が上がっていた。