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「ベイリー」らと念願の面会 新聞コン最優秀の清武さん

社会 | 神奈川新聞 | 2019年12月14日(土) 05:00


 「ファシリティドッグ」と呼ばれる犬が入院中の子どもたちを励ます県立こども医療センター(横浜市南区)に13日、幼い来訪者があった。福岡県粕屋町の小学5年・清武琳さん(10)。脊柱側弯症を患い福岡市内の病院で入院や手術を繰り返す中、新聞記事で犬の存在を知った。自分の近くにもいてほしいと院長らに懇願したが費用面でかなわず、「新たな挑戦」をスタート。念願だった「ベイリー」「アニー」の2匹と面会し、改めて思いを強くした。「全国のこども病院に広められるよう、自分ができることを頑張りたい」

 きっかけは、約9年間に延べ2万数千人の子どもたちを支えたベイリーの引退式を伝える記事(毎日小学生新聞、2018年10月25日付)だった。


ベイリー(手前)とアニーと面会し、森田さんに取材する清武さん=県立こども医療センター
ベイリー(手前)とアニーと面会し、森田さんに取材する清武さん=県立こども医療センター

 派遣元の認定NPO法人「シャイン・オン・キッズ」(東京都中央区)から資料を取り寄せ、院長に手紙を書いた。福岡市立こども病院では費用面から導入に至らなかったが、「まず多くの人に知ってほしい」と図書カードを病院に寄贈。ベイリーの本数冊を院内に置いてもらった。

 清武さんは自身の考えや行動に踏み出した思いをまとめ、日本新聞協会主催の「いっしょに読もう!新聞コンクール」に応募、小学生部門の最優秀賞に輝いた。日本新聞博物館(同市中区)で14日に開かれる表彰式に先立ち、家族とこども医療センターを訪問。地元の西日本新聞社「こども特派員」として、2匹と行動をともにしている「ハンドラー」で看護師の森田優子さん(38)を取材した。

 「うれしかったことや大変だったことは?」との問い掛けに、森田さんは静岡県立こども病院でベイリーとスタートした10年前の活動を振り返り「前例がない日本では入れる病棟も一つで、ファシリティドッグ本来の仕事が限られていた」と説明。その後、入院中の子どもや家族の声で検査やリハビリの付き添いなど活動範囲が広がったとし、清武さんの取り組みには「自分から声を上げてくれるお子さんがいるのは、すごい力になる」と感謝した。


ベイリーとアニー(手前)の散歩を楽しむ森田さん(左)と清武さん=横浜市児童遊園地
ベイリーとアニー(手前)の散歩を楽しむ森田さん(左)と清武さん=横浜市児童遊園地

 30分余りの取材を終えた清武さんは「ずっと会いたかったのでうれしかった。毛がふさふさしてかわいい」と笑顔を見せ、「ファシリティドッグを全国の病院に導入してほしいという気持ちが高まった。(自分も)いろいろなところに手紙を書いて知ってもらおうと思う」と語り、続けた。

 「犬のぬくもりを感じて心が楽になる。手術の前や痛いときに、いてほしい」 来年1月6日の再入院に向け、自身を励ましてくれる犬の存在をかみしめた。

 ゴールデンレトリバーで、オーストラリアで生まれハワイで訓練を受けた2匹。3歳で雌のアニーの前任だった雄のベイリーは、14日に12歳の誕生日を迎える。こども医療センター職員らと一緒にお祝いをした清武さんが小遣いで買ったロープの玩具をプレゼントすると、ベイリーは大喜びだった。

ファシリティドッグ 医療施設や教育機関など特定の施設に常勤して活動するため、専門的に育成された働く犬。シャイン・オン・キッズは2010年、小児がんの子どもたちへの支援を目的に、静岡県立こども病院に導入。神奈川県立こども医療センターには12年から常駐している。19年には東京都立小児総合医療センターで開始。ベイリーは引退し現在、3匹が活動している。年間約1千万円の維持費が導入拡大への課題とされる。

 
 

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