
1977年に新潟市立寄居中1年の横田めぐみさん=失踪当時(13)=が北朝鮮に拉致され、15日で40年となった。全国で署名集めや講演を行い、救出を目指して活動してきた父滋さん(85)と母早紀江さん(81)は同日、川崎市川崎区の自宅マンションで会見。年齢を重ね、体の衰えを感じる中で「すぐ近くの国にいるのに、なぜこれほど長く助けてあげられないのか。1時間でもいい。意識がきちんとあるうちに会い、『めぐみちゃん』と言ってあげたい」と苦しい胸の内を明かした。
40年前の11月15日、夕方にバドミントン部の練習を終えためぐみさんは、下校中に自宅近くで姿を消した。それから20年後の97年、拉致疑惑が浮上した。
早紀江さんは「私たち以外にも多くの特定失踪者がいる。20年前の私たちと同じように、『何も分からないけど北朝鮮かもしれない』と思って頑張っている人がいる」と指摘。解決の糸口が見いだせない日本政府について「信じていてよかったのかという思いを、家族会だけでなく国民も持っていると思う」と述べた。
拉致被害者家族会の初代代表として、早紀江さんと共に先頭に立ち活動してきた滋さんは前日の14日に85歳の誕生日を迎え、最近は言葉がうまく出せない状態にある。
早紀江さんは「夫は忍耐強く、おとなしいタイプの人。最初は代表なんて無理と断ったが、(当時)一番若いということで引き受けた。お互いに普通の庶民で、難しい問題を背負わされているなという思いの中で、支え合いながらやってきた」と振り返る。「夫とは性格も思いも違うが、娘を早く助け出したいという根底は同じ。いつも早く会いたいね、と話している」
53歳になっためぐみさんへのメッセージを求められると、早紀江さんは力を込めた。「病気をしないで、とにかく元気でいて。お父さんとお母さんは弱ってきても、必ず最後まで頑張るから。忘れていないから」