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ヘイトスピーチ考
時代の正体〈553〉無知、無関心脱すため 人種差別撤廃基本法(下)

社会 | 神奈川新聞 | 2017年11月12日(日) 10:00

入居差別の実態を報告する鈴木さん=2日、参院議員会館
入居差別の実態を報告する鈴木さん=2日、参院議員会館

時代の正体取材班=石橋 学】外国人を対象に国が初めて実施した、差別の実態についての調査。外国人人権法連絡会などが主催した院内集会で登壇した国士舘大教員(社会学)の鈴木江理子さんがまず着目したのは、回答者の属性のうち、地域での日本人との付き合いを聞いたものだった。

 「自分または親戚が、日本人と結婚して日本に住んでいる(住んでいた)」が41・8%に上るなど、多くは日本人との関係性がきわめて強い。日本語能力も「日本人と同程度」が29・1%、「仕事に差し支えない程度」が23・4%。

 「外国人の課題を語るとき、しばしば言葉の問題が取り上げられるが、比較的、壁を感じることのない人が調査対象になっている」

 鈴木さんの報告は「にもかかわらず」と続く。

 過去5年間に家探しをした人のうち、「外国人であることを理由に入居を断られた」経験のある人は39・3%に上った。

 「4割という高い割合で、生きていくための基本となる居住権が奪われている」。国内の外国人人口は約250万人。5年のうちに少なくとも約100万もの人に潜在的な入居差別被害が生じたということになる。

 「日本人の保証人がいないことを理由に入居を断られた」も41・2%。「属性からも分かるように日本語が問題なわけではない。日本の文化や習慣になじんでいないからという理由でもない。日本に生まれずっと日本にいてもやはり入居差別を経験している」

 自由回答もその不条理を問う。

 〈日本に生まれ育ったにもかかわらず、国籍だけでマンションに入れないというのはとても不思議で不愉快。日本語しか分からないのに、偏見や差別はまだまだたくさんあると思います〉(韓国籍の50代女性)
 入居差別に対しては、自治体や国レベルで禁止条例を制定したり、外国人の入居に協力する大家を募ったり、取り組みが進められてきた。だが、と鈴木さん。「川崎市の数字を見ると『外国人を理由に入居を断られた』が57・1%、『日本人の保証人がいない』が50・8%。先進的な自治体でも十分な効果を上げられていない現実が調査から分かる」

根強い偏見


 就職や雇用における差別も「驚くべき結果となっている」。

 「外国人であることを理由に就職を断られた」が25・6%。「4人に1人が、能力ではなく、外国人という属性ゆえに、自分の可能性を発揮する機会を奪われている」

 「同じ仕事でも賃金が日本人より低い」(19・6%)、「就職できても外国人を理由に昇進できなかった」(17・1%)といった不利益を受けている。

 労働基準法は就職、雇用における国籍差別を禁止している。在日コリアン2世の青年が、国籍を理由に内定を取り消した日立ソフトウェアを訴え、原告勝訴の判決を勝ち取ったのは1974年のことだ。

 やはり自由記述は問う。

 〈日本で生まれ育ち、心のよりどころも、故郷も日本です。日本が大好きですが、まだまだ、日本人の外国人への偏見は根強いものがあると思います。就職面接時に外国人であることにためらいを感じる面接官の態度を感じたことがあるように思いますし、目に見えない差別の圧迫を感じることもあります〉(韓国籍の60代女性)

出発点として


 過去5年間に、日本で外国人であることを理由に侮辱されるなどの差別的なことを言われた経験のある人も「よくある」2・7%、「たまにある」27・1%を合わせて29・8%。

 「誰から言われたか」に対する回答(複数回答)は「見知らぬ人」53・3%を最多に、「職場の上司や同僚・部下、取引先」38・0%、「近隣の住民」19・3%、「店・レストランの従業員」15・8%、「公務員や公共交通機関の職員」12・9%、「日本人の知人・友人」12・4%、「学校の教師や生徒、生徒の保護者」10・5%と続く。浮かび上がるのは、日常のあらゆる場面で野放しとなっている人権侵害の現実だ。

 「一方、差別を受けたときに『どこかに相談したことがある』は11・4%にとどまり、『相談したことはない』は30・3%だった」

 泣き寝入りというのとは違う。受けた傷を理解してもらえると思えなければ、相談することなどできない。内閣府が2007年と12年に実施した人権擁護に関する世論調査の数字を鈴木さんは示す。

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