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シャッター事故、相次ぐ死者 進まぬ安全策絶えぬ悲劇

社会 | 神奈川新聞 | 2017年11月4日(土) 10:36

今年9月、死亡事故があったスーパーの屋内駐車場の出入り口=横浜市南区
今年9月、死亡事故があったスーパーの屋内駐車場の出入り口=横浜市南区

 電動式シャッターによる重大事故がなくならない。横浜市内のスーパーで今年9月に男性が電動式シャッターに挟まれて亡くなったほか、2003年にも市内のスーパーで男性の頭部に電動式シャッターが落下する死亡事故が起きている。こうした事故は全国でも後を絶たず、消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は実態把握に向けた調査を開始、再発防止策をまとめるとしている。

 横浜市南区で事故があったのは、9月15日午前1時半ごろ。119番通報で駆け付けた南署員らが、スーパーの屋内駐車場入り口で同店の男性警備員(71)がミニバイクにまたがった状態で挟まれているのを発見した。死因は頸部(けいぶ)圧迫による呼吸不全だった。

 同署によると、電動式シャッター(幅7・3メートル)は屋内駐車場の出入り口に設置され、屋内側の壁に取り付けられたボタンで操作。男性は午前1時の閉店後、降下ボタンを押し、ミニバイクで外に出ようとした際に挟まれたとみられる。センサーで障害物を感知するような安全装置は備えられていなかった。

 業界でつくる「日本シヤッター・ドア協会」(東京都千代田区)によると、安全装置が未整備の施設は多い。全国で数百万台あるとされるが、同協会の担当者は「このうち、取り付けてあるのは3割程度ではないか」と推測する。

 建築基準法施行令が05年に改正され、学校などの新設の防火シャッターについては安全装置を備えることが義務付けられたものの、自宅や店舗で利用されているものは対象外という。また改正前に設置されたものも多く、担当者は「安全装置を追加するコストが重しになり、普及がなかなか進まない」と指摘する。

 一方、安全装置が整備されていながら重傷を負ったケースもある。事故調によると、東京都武蔵野市で昨年9月、男性が自宅で使っている電動式シャッターに挟まれたが、安全装置が作動しなかった。

 この事故を含めて、事故調が把握している重大事故は1998年から2016年の19年間で、少なくとも27件あり、このうち死亡事故は半分の14件に上る。

 横浜市鶴見区のスーパーで03年11月に起きた事故もその一つ。スーパーの営業時間外に配送業の男性=当時(51)=の頭上に、店舗入り口の電動式のシャッター(幅約9・7メートル)が落下、男性は頭を強く打って亡くなっている。

 ただ、あくまで事故調の数字は、国民生活センターに寄せられた情報や過去の新聞記事などを基にまとめたもので、安全装置の整備の割合といった詳細は分かっていない。

 このため、事故調は今年8月から、この27件を対象に事故の実態調査をスタート。報告書に事故の傾向などのほか、取り扱う上での安全対策なども盛り込み、消費者庁のホームページ上で公開する予定という。

 同庁消費者安全課事故調査室は「なぜ事故が起こったのかを明らかにし、再発防止策を示して被害を未然に防ぎたい」としている。

 
 

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