
「自分の予算を決めて遊ぶのであれば、カジノは他のエンターテインメントと、何ら変わりはない」
そして、当然とばかりに続けた。
「レストランや劇場で支払いをして、それで『お金をなくした』なんて思わないだろう」
カジノを含む統合型リゾート施設(IR)「マリーナベイ・サンズ(MBS)」の最高経営責任者、ジョージ・タナシェビッチ氏の言葉に、あぜんとした。
「カジノ以上の施設」
シンガポールにあるMBSが11月13日から17日までの日程で、日本の報道機関向けのツアーを主催した。
MBSを運営する「ラスベガス・サンズ」は、横浜でのIR開発に注力する方針を公にしている米国の企業だ。IRの先行事例と言われるMBSの現状をこの目で確かめるため、ツアーに申し込んだ。
移動日を除く3日間のスケジュール表には、施設の見学、同社が取り組むギャンブル依存症や治安対策の説明、ビジネスパートナーとして仕事を受注する地元の中小企業への訪問など、予定がびっしりと書き込まれていた。
いざ現地で取材を始めても、負の側面を全く感じさせない。そして、どの担当者も、どの場面でも、同じ言葉を繰り返した。
「IRは単なるカジノではありません。カジノ以上の施設です」
聞き覚えがあった。
さかのぼること、3カ月前。場所は横浜市役所。