差別や貧困、戦争などで平和をおびやかされた人々を捉えた写真を通じ、平和について考えてもらう企画展「非平和展」が川崎市中原区の市平和館で開かれている。川崎に住む在日コリアンの生活を切り取った写真や差別を受けた在日1世の証言もまとめられている。12月8日まで。
川崎区の桜本、大島、浜町などからなる「おおひん地区」。工場が林立し、戦時中に軍需産業などの働き手として朝鮮半島から多くの人々が移住した。企画展では、1950年代から2000年代まで同地区で暮らしてきた在日コリアンの写真40点を、社会福祉法人青丘社の協力でパネルにして展示した。
写真には、子どもたちが民族衣装チマ・チョゴリを着て元気よく踊ったり、在日コリアンの高齢者サークル「トラヂの会」の参加者たちが笑顔で記念撮影したりする様子が収められている。一方で「女性や子どもはみんなチョン公といじめられ殴られて帰ってきた」など差別の被害に遭った在日1世の女性たちの言葉も紹介されている。
世界各国のジャーナリスト13人によるパレスチナやミャンマーの紛争地域などの写真や絵画63点も展示。同館専門調査員の暉峻(てるおか)僚三さん(53)は「敬遠しがちなテーマの作品が並ぶが、何か感じるものがあるはず。小難しいと思っている人にこそ来てほしい」と来館を呼び掛けている。