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平和願う著作の数々 相模原の児童文学者・丘さん企画展

社会 | 神奈川新聞 | 2019年11月29日(金) 11:18

「平和あっての子どもの本」と語る丘さん=相模原市緑区吉野の市立施設「吉野宿ふじや」

 相模原市在住の児童文学者・丘修三さん(78)が手掛けた作品を紹介する企画展が12月1日まで、市立施設「吉野宿ふじや」(同市緑区吉野)で開かれている。執筆した50冊を超える著書だけでなく、絵画なども展示され、丘さんの多才さを垣間見ることができる。また子どもたちが安心して読書を楽しめる平和な社会を守るため、長く取り組んでいる活動の一端も知ることができる。

 丘さんは熊本県出身。障害児学校の教諭を25年務めた後、文筆活動を始めた。障害のある女性を描いた「ぼくのお姉さん」(偕成社)で、坪田譲治文学賞と新美南吉児童文学賞を受賞。代表作に「口で歩く」(小峰書店)、「少年の日々」(偕成社)などがある。日本児童文学者協会理事長も務め、1995年から相模原市緑区名倉の自宅で創作活動を続けている。

 企画展の会場には、丘さんの著書を自由に手に取ることができるコーナーが設けられ、外国語版や作品を彩る挿絵の原画も飾られている。また本だけでなく、自作の絵画や俳句、書、読者や作家仲間から送られた手紙などを丁寧に貼り付けたノートやスクラップブックも並ぶ。

 会場で特にスペースが割かれているのは、「子どもの本から戦争と平和について考える」と銘打ったコーナー。知的障害のある若者と戦争を描いた「太一さんの戦争」(今人舎)、戦中や戦後を主題にした「夏の記憶」(汐文社)の文章の一部が紹介されている。

 丘さんは、子どもたちが気持ち良く本を広げて夢中になれる、戦争のない世界を守るための活動に長く携わっている。児童文学の作家や編集者らで結成した「子どもの本・九条の会」の呼び掛け人を務め、トークイベントなどで戦争の愚かさと平和の尊さを訴えてきた。

 「戦前は軍国主義が児童文学に暗い影を落とし、学校では教諭が子どもに『国家のために死ね』と教えた。そんな社会に戻らないよう、危機感を持ってきた」と丘さん。「平和で自由な教育が受けられる社会を未来に残すため、活動を続けていきたい」と話している。

 企画展は午前10時から午後4時まで。入館無料。

 
 

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