横須賀市北部の浜見台地区で12月2日から、市内初のコミュニティーバスが本格運行される。市や事業者らが昨年12月から試行していたが、利用者が多いことから採算性があると判断した。11月27日には、市と事業者であるタクシー会社、住民利用者団体が運行に関する協定書を調印。ようやくの実現に、住民は「公共交通として念願である本格運行ができた。感謝している」と喜んでいる。
浜見台と追浜の「浜」から「ハマちゃんバス」と名付けられたコミュニティーバスは、市内のタクシー会社「日の出タクシー」(同市吉井)が運行する。追浜東団地集会所を起・終点として京急線追浜駅や南共済病院などを回る3系統で、朝から夕方まで1日計12往復する。14人乗りのワゴン車を使い、料金は大人300円、小学生150円。
浜見台地区は高低差が激しく、道も細いため、路線バスが通れなかった。しかし、高齢者も増え、車を持たない住民の足を確保しようと、2012年からNPO法人と周辺自治会などが協力して、ボランティアでバスを走らせてきた。
ただ、あくまでも自主的な無償の取り組みのため、住民のコミュニティーバスの運行への要望は根強かったという。このため市は、18年3月からタクシー会社や住民との協議を本格的に始め、同12月に試験運行をスタートした。
今年10月までの11カ月間の乗車人数は計2万4555人で、1便当たりが9・3人。目標だった6人を超えていることから、事業が成り立つと判断した。市は車両の購入費用の補助やバス停の整備も担った。
協定を結んだのは、市と日の出タクシー、地元住民らでつくる「ハマちゃんバス利用者協議会」の3者。協定書には、事業者の運行に関わることや、協議会が利用促進に向け地域でPRを行うことなど3者の役割と、運行計画の変更・廃止の協議に関することが盛り込まれた。
調印式で上地克明市長は「素晴らしい形ができた。関係者の尽力に敬意を表したい」とあいさつ。日の出タクシーの大塚寿幸社長は「目的は一つ。地域の大切な交通手段を守り、継続的に運行することだ。安全第一に身近で親しみやすい運行をするよう努力する。他地域のモデルケースになれれば」と意欲を口にした。利用者協議会の嶋田晃会長は「利用者もさらなる前進と繁栄を支援するため全力を尽くしたい」と話した。