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新聞コンクール
京アニ実名報道題材 横須賀高2年・影浦さん審査員特別賞

社会 | 神奈川新聞 | 2019年11月26日(火) 05:00

県内小中生2人も優秀賞

 日本新聞協会は25日、家族や友達と新聞を読み、感想や意見を応募する第10回「いっしょに読もう!新聞コンクール」の入選作を発表した。審査員特別賞に、県立横須賀高2年の影浦響子さんの作品が選ばれた。高校生を対象にした応募作の審査で「最優秀賞と甲乙つけがたい優れた作品」と評価された。

 コンクールには、国内外の小・中・高・高専生から計5万7561編の応募があった。他に小中高校生部門の最優秀賞各1編、優秀賞計30編、奨励賞118編が入選した。

小学生部門最優秀賞 福岡県粕屋町立粕屋中央小・清武さん
中学生部門最優秀賞 富山県高岡市立高岡西部中・上坂さん
高校生部門最優秀賞 大分県立大分舞鶴高等学校・遠藤さん
審査員特別賞 神奈川県立横須賀高校・影浦さん


コンクール県審査表彰式で、受賞作について語る影浦響子さん=17日、横浜市の日本新聞博物館
コンクール県審査表彰式で、受賞作について語る影浦響子さん=17日、横浜市の日本新聞博物館

 県内で優秀賞に選ばれたのは、川崎市立栗木台小6年の富山怜さん、横浜市立小田中2年の白石幸々(ここ)さん。奨励賞には、小・中・高校生各2人が選出された。

 日常的に新聞に触れる活動やコンクールへの応募に意欲的に取り組んだとして、団体応募441校から優秀学校賞15校、県内の6校を含む学校奨励賞182校も選ばれた。

 また、県NIE推進協議会による神奈川県審査が別途行われ、影浦さんは高校生部門で最優秀賞を受賞している。

 表彰式は12月14日、横浜市の日本新聞博物館で開かれる。

 神奈川県内の奨励賞、学校奨励賞は次の通り(敬称略)。

【奨励賞】
▽川村咲也子(横浜国大付属鎌倉小6年)
▽菊本万聖(横浜市立桜井小5年)
▽北川結唯(鎌倉女学院中3年)
▽鈴木悠可(湘南白百合学園中1年)
▽渡辺光(県立神奈川総合産業高1年)
▽直井杏侑実(相模女子大高3年)

【学校奨励賞】
▽相模原市立上鶴間小
▽鎌倉女学院中
▽自修館中等教育
▽湘南白百合学園中
▽横浜創英中
▽県立神奈川総合産業高

「多様な見方」に気付き 京アニ実名報道題材に

 審査員特別賞を受賞した影浦響子さんは、京都アニメーション放火殺人事件で犠牲者の実名報道の是非を巡る記事(産経新聞8月3日付)を取り上げた。

 京都府警は事件から半月後、亡くなった同社役員や従業員ら35人のうち遺族の了承を得られた犠牲者10人の身元を公表。その背景を報じた記事に、「早すぎる」と感じた影浦さんは「『配慮を重ねて公表を遅めた』というニュアンスが含まれていることに強い疑問と怒りを覚え」、母親に意見を聞いた。

 母親は「我が子がどう生きたか、それを奪った犯人や事件への思いを伝えたい人もいると思う」と指摘。この言葉を耳にして「取材を望む遺族」の存在を失念していたことに気付いた。記事を読み直し、物事を考えるには多角的な視点を持つよう気を付けなければならないことを強く感じた、と記した。

 コンクールの神奈川県審査で11月17日に表彰された影浦さんは、「夏休みの課題で出していた。驚いているし、光栄です」と語った。新聞を読んだきっかけは、実名公表を巡る報道について「早すぎる」というネット上でのやりとりだった。母親の意見を聞き、「『早すぎる』という前提条件が崩れたから、記事を読み直した」。すると、読み飛ばしていた「報道されない被害」という指摘も気が付いたという。

 県審査の表彰式で、審査委員長の重松克也横浜国大教授は「ネットで見て『公表が早いんじゃないか』と思い、実際に記事にあたった。たくさん情報があり、瞬時に決めつけて処理するだけでなく、立ち止まって考えることがすごく大事だ。人の意見を聞くうちに文章が変わってきた。公表についてのルールや遺族の了承を得ている、と具体化していくと、決めつけが変わり、受け止めたことが文章に表れている」と講評した。日本新聞協会の審査も同様に、「実名報道の是非という重いテーマに関心を寄せ、対話を通じて得た気付きにより、自身の考えが深まる様子を卓越した文章力で表現した」と評価した。

 影浦さんは「情報媒体が複数あり、1カ所から確実な情報が取れる時代ではない、と思った。多様な見方があり、いろいろな情報に触れていきたい」と、コンクールを通じて得た「気付き」を振り返った。

 
 

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