国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で中止になった企画展「表現の不自由展・その後」を巡る黒岩祐治知事の発言の撤回を求めていた市民団体が18日、再度知事に抗議文を提出した。9月に提出した抗議文に県が回答したことを受けたもので、文化芸術活動の自主性を損ない、法や条例に抵触するとした。
提出したのは、県内の41団体などによる「共同行動のためのかながわアクション」(高梨晃嘉代表世話人)。回答は10月10日付。
今回の抗議文では、少女像は「慰安婦」被害者の人権回復と平和を求めるデモが千回に達したことを受けて、同じ悲劇を繰り返してはならないという精神をたたえるため韓国の市民団体が建てたと説明し、「韓国政府の一方的な政治的メッセージではない」と指摘。加えて一連の知事の発言は、慰安婦の強制性などについて否定する安倍政権の主張の繰り返しであり、「人権感覚のひとかけらもない政治的発言」とした。
また、政府の言うことにしか公金を使ってはならないということについて「検閲に通じ、憲法に違反すると考える」と改めて主張。その上で知事の発言は「表現の自由の重要性を深く認識」し、「文化芸術活動を行う者の自主性を尊重する」とうたう文化芸術基本法や県文化芸術振興条例に抵触すると指摘した。