ライフサイエンス(生命科学)関連の研究開発拠点「湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)」(藤沢市村岡東)で、異業種連携を通じ認知症を巡る諸課題の解決を目指す「第2期湘南会議」の議論が大詰めを迎えている。未病産業のビジネス化をテーマにした第1期に続くプロジェクト。超高齢社会の到来を見据え、地域社会を基盤とした認知症サポートの仕組みを検討する。
第2期湘南会議には日本医療政策機構(HGPI)、大手生命保険会社、マスコミ、医療機器卸業者など7社が参画。県と藤沢、鎌倉両市がオブザーバーとして参加し、6月にスタートした。
会議は、認知症を巡る課題を俯瞰(ふかん)的に調査、整理。「認知症を取り巻く理想」として、発症前(認知度低下)、MCI期(軽度認知障害)、認知症の初期、中期、後期の各ステージでの本人、周囲、社会のあり方について議論を進めている。
具体的には、発症前の段階では、発症抑制や早期発見、進行抑制、本人に対する個性を尊重したケア、周囲にはやりがいのある介護といった解決策が論点になっている。社会全体の目標としては、「認知症本人が社会の一員として共生」を掲げた。
議論を深化させようと、10月下旬には、同市内で小規模多機能型居宅介護施設「おたがいさん」を運営する「あおいけあ」の加藤忠相代表や認知症の当事者を招き座談会を開催した。
加藤さんは「医療、介護の目的は、認知症の人が最期まで地域で質の高い生活を送り続けるようにすること。日本人が長生きになり、当たり前になってくる認知症について、社会がどう対応するかを本気で考えるべきだ。多数派になる認知症の人が生活できない社会の方がおかしい」と投げ掛けた。
会議を取り仕切る同パークの藤本利夫ジェネラルマネージャーは「まだまだ認知症が正しく理解されていない。理解促進(啓発系ソリューション)と、地域コミュニティーを基盤とした認知症の助け合いの仕組みの構築の二つを具体化させるため現在、各社と構想を練っている」としている。
第2期湘南会議は11月末に最終会合を開き、以降、分科会などで課題解決策の具体化を協議していく。