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「ブラック校則」問題巡り討論会 厳罰化に懸念の声

社会 | 神奈川新聞 | 2019年11月17日(日) 05:00

校則を巡る問題について意見を交わした討論会=横浜市中区
校則を巡る問題について意見を交わした討論会=横浜市中区

 「ブラック校則」として行き過ぎた生徒指導が社会問題となる中、校則の在り方について考える討論会が16日、横浜市中区で開かれた。「指導の厳罰化は、生徒から考える機会を奪うことにならないか」。識者らから懸念する声が上がった。県立高校教諭らでつくる県高等学校教育会館教育研究所の主催。

 関西学院大教授の桜井智恵子さん(教育社会学)が基調講演。同調圧力にさらされ、自己肯定感を持てない子どもが少なくない中、校則でがんじがらめに縛ることは「心も体も統治され、反論する構えがつぶされる」と問題視。グローバル人材の育成として企業に資する形で個人の能力を高める教育を求める風潮も相まって、社会問題に声を上げていく民主主義がますます危機に陥るのではないか、と訴えた。

 その後のパネルディスカッションには、県立高校教諭らが登壇。学校で厳罰指導に歯止めがかからない現状について、この教諭は「生徒の問題行動が減ってせっかく落ち着いてきたのに、厳しい校則をやめたら再び学校が荒れると受け止める教員がいる」と指摘。「そもそも学校運営に関わることで管理職に対して反対意見を持っていても、『反映されないので言っても無駄』という空気が教員間にある」と打ち明けた。

 若者支援に取り組むNPO法人関係者は「学校では生徒自ら考えることが重視されず、『先生の言うことやルールを守っていればいい』という教育がなされがち。それでは社会を生き抜く力を身につける機会を生徒から奪うことにならないか」と疑問を投げ掛けた。

 窮屈さが増す学校現場について、桜井さんは「『わたしはわたしでいい、あなたはあなたでいい』という『存在承認』の考え方をいかに広げているか」と語った上で、自己責任を強いる社会の構造を問うていく必要性を強調した。

 
 

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