災害アーカイブ(記録保存)の役割と可能性を探るフォーラムが13日、横浜市西区であった。来春で9年となる東日本大震災の教訓継承に収集資料や写真などを生かしている東北の図書館関係者らが登壇し、風化させないための工夫や試みを語った。
岩手県立図書館指定管理者の安保和徳さんが紹介したのは、2011年10月に公開した震災関連資料コーナー。発生直後に発行された全国の地方紙や雑誌のほか、「歴史的な大災害の空気感を残すため、通常は集めないチラシ類を収集している」と特色を挙げた。
同県が17年3月に立ち上げたウェブサイト「いわて震災津波アーカイブ~希望~」は、動画や音声を含む約23万7千点を公開中だ。復興推進課の伊五澤敬さんは「中高生の作文や学校新聞も収録しており、当時の考えや行動、命の大切さが分かる」と強調。震災を知らない世代が増える中、県が進める「復興教育」への積極的な活用を今後の鍵とした。
東北大付属図書館(仙台市)の永澤恵美さんは、岩手や福島などの図書館と共同で取り組むキャンペーン「震災記録を図書館に」を取り上げた。収集資料が減少傾向となっている点などを課題としつつ、「記録は今後の減災にも役立つと確信している」と意義を強調した。
フォーラムを主催した防災科学技術研究所の三浦伸也・自然災害情報室長は「それぞれの特徴を生かしつつ、連携して補い合うことが大切。いかに永続的に残せるかも重要だ」と指摘した。