
台風19号で被災した三浦市立剣崎小学校(同市南下浦町松輪)で9日、全校児童66人がオペレッタを披露した。体育館の壁に大きな穴が開き、一時は開催が危ぶまれたが、どうにか仮復旧を済ませ、本番にこぎ着けた。発表を終えた子どもたちの笑顔は、達成感に満ちていた。
秋の恒例行事「剣小っ子発表会」で、オペレッタに取り組むようになったのは昨年から。今年は夏から準備していたが、本番の1カ月前に台風に見舞われた。市南部の江奈湾に面する同校は、強風の影響で鉄骨造りの体育館の壁に穴(高さ約4メートル、幅約5メートル)が開き、屋根の一部が剥がれた。
体育館の使用を取りやめ、オペレッタの延期も検討したが、子どもたちの熱意を考慮。児童が教室や音楽室で稽古を重ねる中、教職員が仮復旧や準備に奔走した。10月下旬になってようやく体育館で練習できるようになり、この日の本番を迎えた。
上演したのは、人間のチーズ工場の経営を立て直しネズミの名誉を回復させた英雄にまつわる物語「アナトール、工場へ行く」。照明が落とされ、スポットライトが当たる舞台で、子どもらは華麗に歌やダンスを披露した。演奏も全て児童が行い、詰め掛けた地域住民や保護者ら約200人から盛んな拍手が送られた。
主要キャストの6年鈴木浩太郎さん(11)、同杉野誓志さん(12)、5年の大原正寛さん(10)は「チーズをおいしそうに食べるようにした」「気持ちを込め、表情やしぐさに気を付けた」などと振り返った。
アナトール役を務めた6年の鈴木佑京さん(11)は「今までたくさん練習してきた。体育館が壊れ不安だったが、やりきれた」。五十嵐徹校長(58)は「台風で大きなダメージを受けたが、多くの励ましの言葉をいただいた。今後も剣崎小を盛り上げていきたい」と周囲の協力に感謝していた。