
保釈後に実刑判決が確定した男が刑務所への収容を拒んで愛川町の自宅から逃走した事件で、公務執行妨害や犯人蔵匿教唆などの罪に問われた男(43)の公判が6日、横浜地裁(加藤学裁判長)であり、被告人質問が行われた。被告は知人に60万円の借金があったとした上で、「(収容されたら)返済できなくなる。妻に取り立てに行かれるのが嫌だった」と逃走理由を述べた。
被告は逃走当日の状況について「(収容を拒んだ際)包丁を振り回してはいないが、(横浜地検職員や警察官を)どう喝したのは事実」とし、「自分が逃げなければ、妻や子どもをはじめ、いろんな人に迷惑をかけることはなかった。申し訳ない」と述べた。
自宅を出た後は、ほとんど現金を持たずに車で相模原方面に向かったと説明。「立ち寄ったコンビニエンスストアで偶然会った友人に覚醒剤をもらった。(連絡が取れた)後輩から『包丁を振り回して逃げた』という話になっていると聞き、腹が立って覚醒剤に手を出した」などと述べた。「出頭も考えたが、覚醒剤をどうしても抜きたかった」とも話した。
被告の逃走時に自宅に居合わせた妻も証人として出廷し、「(被告は)包丁を振り回してはいない」と証言した。
起訴状などによると、被告は6月19日、収容のため愛川町の自宅を訪れた横浜地検職員に怒鳴り、包丁を振り回して公務の執行を妨害したほか、知り合いの男(39)=犯人蔵匿罪などで公判中=にかくまうよう依頼し、同23日未明から早朝まで横須賀市内の同男のアパートにかくまわせた、などとされる。