米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)の騒音問題で、昨年3月に完了した空母艦載機の岩国基地(山口県)への移駐後から騒音測定回数の少ない状態が続いていることが5日、県の集計で明らかになった。横浜市内で開かれた県や基地周辺9市などでつくる「厚木基地騒音対策協議会」で報告された。
県によると、例年の空母入港月(12月から翌年5月まで)におけるジェット戦闘機によるものと想定される100デシベル以上の騒音測定回数を比較。基地から最も近い北側1キロ地点(大和市)で移駐前(2014~16年度)は月100~500回程度だったのに対し、移駐後(18年度~)は月40回以下に減少した。
騒音の減少は滑走路近くだけでなく、騒音計が設置されている周辺6市の全11計測地点でも確認された。 ただ、艦載機の陸上空母離着陸訓練(FCLP)に関し、会長の黒岩祐治知事は「硫黄島の代替訓練施設は確保されておらず、厚木基地で訓練が行われる可能性は払拭(ふっしょく)されていない」と指摘。政府や在日米海軍などに対し、(1)硫黄島での全面実施(2)恒常的訓練施設の確保(3)厚木基地の運用や騒音状況などの情報提供-を要請することを決めた。
代替訓練施設を巡っては、鹿児島県西之表市の馬毛島が浮上していたが、5月に地権者側が防衛省に交渉打ち切りを通告していたことが判明。同省は早期の売買契約締結を目指すが、時期は見通せていない。