県庁前の日本大通り(横浜市中区)で27日、特設馬場を設置して流鏑馬(やぶさめ)が披露された。ラグビーワールドカップ(W杯)開催に合わせ、訪日外国人旅行者(インバウンド)にも日本の伝統文化を広く知ってもらおうと県が企画。歴史ある県庁本庁舎とイチョウ並木を背景に、馬上で矢を射る武田流の勇壮な騎射に歓声が上がった。
県によると、首都圏の主要公道で流鏑馬を行うのは初めて。21日から会場の道路を通行止めにして、県庁側の歩道に高さ10センチほどの木板を並べ、中に砂を敷き詰めて長さ113メートル、幅2・4メートルの馬場を設営した。
統括役の「総奉行」の装束で登場した黒岩祐治知事は「プリーズエンジョイ、ヤブサメ、サムライカルチャー」と英語を交えてあいさつ。寄せの太鼓を合図とする出陣や、弓は射ずに馬を駆る「素馳(すばせ)」などの式次第はその都度、英語でも解説された。
午前と午後の2回行われ、計約4千人の観客が楽しんだ。馬場の距離が短いため、的は一つだけ(通常は三つ)の簡略版だったが、同市港北区から来た50代の女性は「馬と人が一体になって迫力があった。昔ながらの衣装も見られて面白かった」と話した。