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「地元視点、こだわった」 新聞協会賞受賞者が横浜で講演

社会 | 神奈川新聞 | 2019年10月28日(月) 05:00

講演する秋田魁新報社の松川編集委員 =横浜市中区
講演する秋田魁新報社の松川編集委員 =横浜市中区

 2019年の新聞協会賞の編集部門で受賞した記者らによる講演会が27日、横浜市中区のニュースパーク(日本新聞博物館)で開かれた。約40人が参加し、受賞4社の記者が取材の狙いなどを披露。秋田魁新報社の松川敦志編集委員は、イージス・アショア配備問題をめぐる適地調査データのずさんさを暴き、住民を軽視する政府の姿を明らかにした経緯などを語った。

 松川編集委員は事実と異なるデータが記載されていることをスクープするなど、政府のずさんな計画を明らかにした一連の報道で受賞した。取材にとりかかったのは、政府が配備先を「秋田、山口両県にする方向で最終調整している」との2017年11月の報道が契機だったという。

 先立つ同年3月に秋田県男鹿市で行われた全国初の弾道ミサイル避難訓練や、その後の政府の動きなどを追うと「実は水面下で(秋田配備への)流れが着々とつくられていると感じた」と松川編集委員は振り返った。さらにことし5月、配備候補地選定に関する防衛省の調査報告書が出ると、「(内容に)恣意(しい)性を感じて徹底的に読み込んだ」といい、秋田配備に持ち込みたいがためのずさんなデータの発見、スクープに結実したという。

 松川編集委員は「徹底的に地元の視点のみにこだわって取材を重ねた結果、防衛省の『あの場所しかない』という強い欺瞞(ぎまん)、結論ありきの姿勢が分かった」とし、「報告書を政府が出した正しい見解と捉えず徹底的に検証したことで、住民軽視の姿勢を描き出せた」と語った。

 関西電力役員らが同社高浜原発の地元有力者から金品を受領していたことを特報し受賞した共同通信の前社会部記者、長谷川智一札幌支社編集部次長は、旧知の取材先から4月に情報を得た後、福井県に通って取材を進めた経緯を説明。故人となっている地元有力者が自己満足のために金品を贈ったと説明している関西電力について、「(自らに)都合がいい説明で一般的な説得力を欠く。今後は第三者委員会が動くので引き続き注視したい」と話していた。

 このほか、18年の台風21号の写真報道で受賞した毎日新聞大阪本社写真部の幾島健太郎記者や、データ社会の功罪を取り上げた連載企画「データの世紀」で受賞した日本経済新聞社データエコノミー取材班の阿部哲也企業報道部次長も参加した。

 
 

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