台風19号で甚大な被害を受けた相模原市緑区で活動する災害ボランティアのために、地元飲食店主らが料理を無料で振る舞っている。ボランティアの活動初日だった20日には、津久井地区センター(同区中野)にブースを設け、唐揚げやコロッケなど5品を提供。26日も同センターでラーメンを用意する予定で、店主らは「ボランティアを支援することで、被災者の支援につなげたい」と話している。
料理を提供しているのは、いずれも同区に店を構える、和菓子店「泰平堂製菓舗」(青山)、ラーメン店「野楽」(長竹)、オギノパン(同)、せき製麺(青山)、ピザ店「ドリームファーム」(同)の5店。地元有志でつくる「仮津久井業者会」が中心になり、活動している。
始めたのは2011年。東日本大震災がきっかけだった。岩手県大船渡市で被災者だけでなく、全国から集まったボランティア、対応に追われる市職員らにも自慢の料理を振る舞ったところ、喜ばれた。代表の奈良哲弥さん(61)は「料理を作ることが、地域のためにできる私たちのボランティア活動と感じた」と話す。
台風19号は、地元に大きな爪痕を残した。特に緑区は山間部を中心に、その被害も深刻だ。市社会福祉協議会はいずれも区内の、津久井地区センター(中野)、相模湖地区センター(与瀬)、藤野地区センター(小渕)に災害ボランティアセンターを設置。20日からボランティアが民家などで泥のかき出しや片付け、家財道具の運び出しなどを手伝っている。
奈良さんらも20日、津久井地区センターにブースを設け、揚げパン、ベーコンサンド、揚げまんじゅうなど5品を調理。活動を終えたボランティアやセンターを運営する職員ら約250人に料理を配って回った。川崎市多摩区から参加した会社員の男性(38)は「温かい食事で心も温かくなった。また活動したいと思う」と笑顔で話した。