「日本国憲法と安全保障」を主題に据えた講演会が22日、横浜市栄区の栄公会堂で開かれた。知識人による平和問題に関する意見表明の会「世界平和アピール七人委員会」の委員でもある、慶応大名誉教授の小沼通二さんが登壇。日本国憲法の平和主義は不戦と平和の実現を求めてきた「100年の世界史」を踏まえたものと力説、混沌(こんとん)とする世界情勢の中でも、「世界の進歩は止められない。希望を失わないことが大切」と、その尊重を訴えた。
安倍晋三首相は臨時国会での所信表明演説で「国会議員がしっかりと議論し、国民への責任を果たそう」と呼び掛けるなど、改憲に強い意欲を示している。
小沼さんは自民党の改憲案に懸念を示した上で、政治を変えるために必要なこととして「議論の場を続けること。そして異なる意見の人と話し合いをすること。全ては少数意見から始まる。少数意見や異論に耳を傾けることが必要」と説いた。
また「核の傘」を提供する米国への配慮から、日本が参加していない核兵器禁止条約については「来年か再来年には発効する。日本の対応が問われることになる」と指摘した。
講演後、参加者からも「自衛権の思想をなくさない限り、戦争はなくならないのでは」「先進国として人権意識がまだ足りないのが日本の問題の根底にある」など、日本を取り巻く現状に対し、活発な意見が出された。
講演会は、市民団体「安保法制廃止 憲法を活かそう オール栄区の会」が主催。安保法制などに反対し、JR大船駅前などで継続してきたスタンディング(路上で訴える行動)が11月に100回を迎えるのを記念して企画し、約100人が参加した。