
やんばるの森に抱かれた夕刻の牧草地に、黒煙が立ち上る。11日午後5時20分ごろ、米軍の大型輸送ヘリが沖縄本島北部の北部訓練場(沖縄県東村など)近くで炎上し、大破した。民家までわずか300メートル。ネットにニュースが駆け巡った。
「やっぱり、また起きたんだ」。伊波中学校(同県うるま市)演劇同好会の顧問、前田美幸さん(32)に驚きはなく、しかし冷静ではいられなかった。今も心の内に影を落とす“事件”を思い起こした。
あの日、携帯電話を見ると、数十件のメールと不在着信が残っていた。留守番電話には「無事か?」「生きてる?」のメッセージ。メールにも「生」「死」の文字が並ぶ。折り返しの電話をかけ続け、ようやく通じた先輩に告げられた。
「美幸、沖国にヘリが