【時代の正体取材班=石橋学】これが犯罪ではないという結論があってはならない-。25日、市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」の集会で師岡康子弁護士は強調した。無数の脅迫・嫌がらせツイートで平穏な暮らしを害されたとし、在日コリアンの崔江以子さん(46)が藤沢市の男(51)を県迷惑行為防止条例違反の疑いで横浜地検川崎支部に告訴して半年以上がたつ。検察の判断に注目が集まるのは、及ぶ影響が一個人にとどまらないからだ。

師岡弁護士が強調したのには訳がある。匿名アカウント「極東のこだま」の男を告訴したのは2度目だった。県警が脅迫容疑で書類送検するも、今年2月に横浜地検川崎支部が不起訴にしたため、罪名を変えて新たな告訴に踏み切ったのだった。
弁護団は一連のツイートが「行動を監視していると思わせる事項や名誉を害する事項を告げ、知り得る状態に置く」という条例の禁止規定に該当すると踏む。「あれだけ恐ろしい思いをさせ脅迫罪に当たらないという検察の判断は今も納得いかないが」と師岡弁護士は念押しするように言う。
恐怖
代理人として崔さんがどれだけ痛めつけられてきたかを知る師岡弁護士は「差別ほど犯罪的なものはない」と強調する。