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北海道・三菱ふそうバス事故
欠陥車両なぜ流通 無罪判決の運転手訴え

社会 | 神奈川新聞 | 2019年8月22日(木) 11:31

道央道で蛇行後に横転した三菱ふそう製のマイクロバス =2013年8月、北海道白老町
道央道で蛇行後に横転した三菱ふそう製のマイクロバス =2013年8月、北海道白老町

 北海道の新千歳空港で迎えた観光客を登別市に送り届ける道中だった。「パキン」-。運転席の後部から耳障りな金属音が聞こえた。その直後、マイクロバスのハンドルが激しく揺さぶられ、操作がきかなくなった。

 コントロールを失ったバスは片側2車線の高速道路上を蛇行。「危ない!」。男性運転手(60)=千歳市=がそう感じたと同時に、バスは左側のガードレールに接触し、さらに右側の中央分離帯に衝突して横倒しになった。金属音が聞こえてからわずか数秒の出来事だった。

 乗客13人が重軽傷を負った事故は2013年8月、白老町の道央自動車道で発生。男性にとって、毎日のように利用する走り慣れた道だった。バスは三菱ふそうトラック・バス(川崎市)が製造。「車両に何か問題があったのではないか」。事故直前に聞こえた異音や不可思議なハンドルの状態から、当然抱いた疑問だった。

 ところが、事故から約2年後の15年9月、男性は自動車運転過失傷害の罪で札幌地検に在宅起訴された。前方不注意などの注意義務違反があったほか、ブレーキ操作などを怠ったとされた。

 信じられない思いの一方で、捜査機関への憤りが心に渦巻いた。「このままでは犯罪者にされてしまう。徹底的に闘わなければ」。公判では一貫して無罪を主張。弁護側も原因は車の欠陥にあると反論した。

 被告として過ごす時間は孤独で厳しい、いばらの道だった。勤務していたバス会社は退職に追い込まれ、長引く裁判で費用がかさんだ。知人を通じて別の運送会社に就職したものの、長男が大学に進学した時期とも重なり、家族とはどこか見えない溝が広がっていくのを感じた。

 公判は3年以上に及び、札幌地裁室蘭支部は今年3月、男性に過失は認められないとして無罪(求刑禁錮10月)を言い渡した。検察側は控訴せず、判決は確定。「うれしいというより当然の結果。最初から事実を言っていただけのことだ」。無辜(むこ)が証明されてもなお、訥々(とつとつ)と語る男性の表情はさえない。

 なぜ罪に問われなければならなかったのか。なぜ欠陥のある車両が流通していたのか。捜査機関や、裁判で車両の欠陥が認定された三菱ふそうからの謝罪は今もない。「誰も責任を取っていない。これで終わりにすることはできない」

 男性は今春、弁護士を介して、三菱ふそうと幹部らを業務上過失傷害と道路運送車両法違反の疑いで、横浜地検と神奈川県警に告発した。頭をよぎったのは、17年前に発覚した三菱自動車によるリコール隠し事件だった。

揺らぐ「ものづくり大国」
見え隠れする消費者軽視

 道央道の横転事故を巡る男性運転手(60)=北海道千歳市=の公判は、三菱ふそうトラック・バス(川崎市)製マイクロバスの不具合が事故原因かどうかが争点になった。事故後には、「センターメンバー」と呼ばれるバス床下の金属部品が破損していることが判明していた。

 センターメンバーは、つり下げられている緩衝装置「ロアアーム」を車体に固定する役割がある。破損すれば、ロアアームが床下から脱落して左右に動くようになるため、前輪も連動して左右に傾き、操縦が不能になる可能性がある。

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