
2017年9月、沖縄中が衝撃を受けた。住民83人が集団自決(強制集団死)し、凄惨(せいさん)な沖縄戦を象徴する自然壕(ごう)「チビチリガマ」(沖縄県読谷村)が、沖縄で生まれ育った少年たちに荒らされた。
平和教育は児童生徒に伝わる形で行われているか-。沖縄戦を知らない世代が圧倒的多数を占める中、戦禍を継承する教育の大切さと難しさが改めて浮き彫りになった。
読谷村教育委員会文化振興課課長の上地克哉さん(51)は大人の責任が大きいと自戒する。「平和教育を何回行ったかという実績を強調するだけでは意味がない。子どもたちが本当に内容を理解しているのかを確認しなければ、再び同じことが起きかねない」
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児童生徒の祖父母はほとんどが戦後世代になった。家庭で沖縄戦を語る機会が失われる中、学校での平和教育の重みが増している。だが、そもそも担い手となる教職員の家族も多くが戦後世代だ。