ベトナム戦争時、米兵の反戦運動を支援していたブライアン・ビクトリアさんを招いた講演会「横須賀と反戦米兵たち ベトナム戦争から今へ」が14日夜、産業交流プラザ(横須賀市本町)で開かれた。ビクトリアさんは、米兵を「加害者であり被害者」と指摘。相手の立場に立ち、さまざまな面から問題を考えることの大切さを訴えた。
米国出身のビクトリアさんは、英オックスフォード大学付属仏教研究所の研究員。徴兵制が導入されていた米国で、良心的兵役拒否の代わりに社会奉仕を課せられ、宣教師として1961年に来日した。
67年、横須賀基地に停泊中の空母から脱走した4人の兵士の話を知り、60年代後半から70年代初頭にかけて、ベトナム反戦運動を展開。横須賀で反戦兵士を支援する喫茶店を開き、機関紙の発行に携わってきた。
活動を通した教訓として「兵士も被害者」と強調。「現在は志願制だが、多くの兵士たちは貧乏人。軍隊に入れば大学に行けるなどいろいろな恩恵が受けられるが、必要に応じて命を落とさなければいけない。その意味で加害者であり、被害者」と力を込めた。
昨今、弾道ミサイル発射や核実験を繰り返す北朝鮮情勢にも言及。北朝鮮を脅威とする報道について、朝鮮戦争などの歴史的経緯を踏まえて「相手の考え方を理解しようとしているか」と疑問視し、「平和条約のある未来をつくるように頑張ってほしい」と呼び掛けた。
講演会は、横須賀で基地問題に取り組む市民団体などの主催。市内外から約50人が参加した。