横須賀基地(横須賀市)に米空母「ミッドウェー」が1973年に配備され、厚木基地が空母艦載機の拠点となって以来、艦載機が離着陸訓練をする場所を日本国内に確保することは、米軍の最重要課題となっていった。ソ連のアフガニスタン侵攻(1979年)で新冷戦が始まり、米国防戦略でも部隊の即応力強化が強調されたことが背景にある。
ことに難題だったのが、夜間の作戦行動中、空母に空から着艦する技能をパイロットが維持しなければならないことだ。
高速度で飛ぶ艦載機が夜、真っ暗な洋上に浮かぶ空母に着艦するには、極めて高度な技能が求められる。全長300メートルほどの空母の甲板には、水平にワイヤーが張られ、艦載機に付いたカギで引っかけてとらえるようになっている。
狙った地点に正確に機体を降ろすには、パイロットが定期的に陸上の基地で訓練を重ね、技能を保っておかなければならない。基地の上空を回転しながら、甲板に見立てた滑走路に向けて降下し、定められたポイントに機体の車輪を接地させ、すかさず飛び立つ。この「タッチ・アンド・ゴー」と呼ばれる飛行を何度も繰り返して、テクニックを磨くのだ。
厚木で開始…騒音苦情殺到
「関東地方に艦載機の訓練地が必要だ」。1981年1月の非公式協議…